脳内デート 第17話
Posted By admin on 2011年5月30日
5月25日水曜日、雨。
今日は給料B。普段なら待ちに待った日だが、今日のヒロキは最悪だった。昨日何とか仕事を乗り切ったはいいものの、夜帰ってみれば37・7℃。
一昨日感傷に浸って眺めた夜景のせいだった。あれからすぐユリエに返事をしたもの返事はない。それはそうだ。友達でもなく何か疑問文を添えたわけでもない。ユリエからmailが来る理由がないからだ。風邪をひいてせっかくの休みも台無し、ヒロキは自分の部屋でうじうじするしかなかった。タバコを吸いに立てば、熱のせいか頭がフラフラする。久しぶりに体調を崩したせいか、子供が学校を早退するような不思議な気分だ。
PCを立ち上げ、痛む体を寄せるように座椅子に座る。テレビは昼だから見たいようなものはない。すぐテレビをけし、itunesを起動させ好きな音楽をかける。ヒロキは最新型のPCを買って音楽プレ−やーとしても使っていた。倖田來未の曲が流れてくる。ヒロキは愛のうたがお気に入りだった。恋人にフラれ、雨の中ずぶ濡れになってショーケースを眺める女の子。やがて雨はやみ、辛い失恋を乗り切って前へ歩いていく。
そのPVを見たくなったのだ。
まるで一昨日の自分みたいに倖田來未がずぶ濡れになっている。
ヒロキは自分でもなぜかわからなかった。どうして雨の中濡れるのがわかっていて外に出たのか。そんなことをしなければ風邪などひかなかったのに。昨日コンビニで買っておいたパンを食べ何とか栄養を補給する。「今日はなんか時間がたつのが遅いな。」独りの部屋でつぶやく。「明日はまた仕事か…」溜息が混じった息を吐き出すヒロキ。ユリエに会うのは明後日金曜日。
今週は予定が詰まっていてなかなか小浜へ行く時間がない。ヒロキにはそれが最大のストレスになっていた。
会いたい気持ちを自分で抑えようとしてみても、結局抑えられずどうしていいかわからなくなる。仕事や運転中は気が紛れるからまだいい。こういう独りの時間を過ごすのがヒロキは苦手だった。「ゆりちゃん、今頃何してるのかなぁ。」思わず声に出た本音。ヒロキは苦笑いしながら目を閉じた。「神様、どうして俺を彼女に会わせたんですか?どうして人を好きになるとこんなに苦しいんですか?」その問いの答えは返ってこない。風邪薬のせいか、毎日の疲れのせいか、ヒロキは少しずつ眠気に襲われてくる。
「夢に出てきてくれるだけでもいいのに…」ヒロキはそのまままた眠りに落ちて行った。to be continued。
Comments
Leave a Reply